いらっしゃい……珍しい雨の中どうも……。 この見世物小屋には不思議な匣が置いてある。 ま……時間の許す限り見ていくと良い。 今回だけ特別。
いらしゃいませ! 呪願怨室本舗です! あなたの願いは何ですか? 私が叶えて差し上げます。
やあ。また会ったね?え?会ってない?細かい事は気にしないでよ。 僕は嘘吐きだからね、信じない方が良いよ。
主人公が雨宿りに訪れたミセは、見世物小屋。 店主の話によると「匣の蓋を開けて覗き見る」ことで、物語を見ることができる。 匣を見るお代は、時間。 喜ぶも1秒、悲しむも1秒。 あなたも時間を支払って、匣の中を覗いてミる――?
俺の幸せなんてここには存在しない。本当は、自身が生きているかの自信も無い。死んでいると言われたなら死んでいるだろうし、生きていると言われたのなら生きている。俺は特に生きる事にも死ぬ事にも興味が無い。いつだって死の世界を知りたいと思うし、生の世界も知りたいと思う。知らない何かを知ることができれば、俺にとってはどちらでも良い。ただ知りたいという欲だけで、俺は今を過ごしている。
「蜉ゥ縺代※蜉ゥ縺代※蜉ゥ縺代※蜉ゥ縺代※蜉ゥ縺代※蜉ゥ縺代※蜉ゥ縺代※蜉ゥ縺代※蜉ゥ縺代※」 おっと……その匣は見てはいけない。ま……仲間になりたいんやったら、手でも入れてみたら?
お人形のように可愛らしく美しく着飾ったご主人様は、私がいなくなることを考えると、不安で不安で気が狂ったようになるのです。私にはそれがたまらなく滑稽でずっと見ていたいとも思ってしまうほど。しかしながら、ご主人様をずっとそのような状態にしてしまうと暴行に走るのでーー私は痛いのは嫌いなのでーーやはり傍で大人しくしているのです。 陶器のように白くて滑らかな肌も、海のように透き通った碧い瞳も、青空を切り取って貼り付けたかのような色をした髪も、全てが芸術品の様。ヒビ割れて壊れてしまわぬように、私は今日も付き従うのです。
メスを取り、頭に切り目を入れる。皮膚の切開が終わると止血のため頭皮クリップで皮膚を挟む。弧状に切開した皮膚弁を捲るとすぐ下に筋膜が現れた。腱膜を剥離すると、無影灯に頭蓋骨がさらされるだけであった。頭蓋骨にドリルで小さな穴を開け、電動ノコギリで切る。骨弁を取り外し、硬膜をハサミで切り開いた。内倉は脳を取り出し、助手に渡す。次に、メスを顎の下に差し込み、下腹部まで一文字に分厚い筋肉を引き裂いていった。カッターで肋骨を折り、一本一本除去して左右の肺、内蔵を取り出し、助手へと渡した。空になった胸腹部に損充材を入れ、縫い合わせていく。頭部も同様に縫うと、全身を綺麗に洗った。はらわたが抜かれた分、施術前よりも痩せて見える。
あなたは何を知りたいの――? これはただのヒマ潰し。 俺は何でも知っている。あなたの生年月日、血液型、体組成、家族構成、ペットの名前、病歴、恋愛歴、DNA配列、何でも知っている。俺はこんなにもあなたのことを知っているのに、あなたは俺のことを何も知らない。でも心配する必要は無い。 何故なら、俺はあなたを知りたいから来た。 さあ、あなたは何を知りたいのーー?